薬物よりも怖い、甘味中毒の恐ろしさ

Kawauso/ 7月 29, 2023/ 危険な食べ物/ 0 comments

脳を大まかに分けると、生命の中枢である「脳幹」や中心部にある「大脳辺縁系」と呼ばれる原始脳、そして外側の「大脳新皮質」などからなる大脳の90%を占める領域があります。

「大脳新皮質」は思考、知覚、言語、記憶、運動、合理的、分析的、理論的な思考などの高度な機能を持っています。

高度な動物ほど大脳新皮質が発達しており、特に前頭葉付近に位置する「前頭連合野」と呼ばれる部分は、思考、判断、意欲、感情、理性を制御し、五感から収集された情報を整理し、衝動を抑制し、理性的な意思決定をし、指令を出す、人間らしく存在するための中枢、司令塔です。

この部分が損傷すると、何に対しても興味を持たずに無気力で感情が鈍感になるか、性格が変わってしまう可能性があります。

一方、理性の前頭葉とは対照的に、本能的な機能を担当しているのが大脳新皮質の内側、中心部の「大脳辺縁系」です。

大脳間連合はワニの脳とも呼ばれ、好きや嫌い、快、不快、恐怖、怒り、喜び、悲しみ、愛着など、他の動物にも共通する「原始的な感情」を担当する部分です。

食欲や性欲などの生存本能もここで起こります。

特に「扁桃体」と呼ばれる部分は、好き!嫌い!恐怖!などの感情と関連しています。

「側坐核」と呼ばれる部分は報酬や動機、快感に関与しています。

これらの脳の領域は単独で働くのではなく、連携して協力して機能します。

情報を連携させるためのものが、脳内で情報を伝達する「神経伝達物質」です。

脳の神経細胞は数百億も存在しますが、それらの神経細胞は相互に接続されていません。

したがって、必要な情報を伝達するためにさまざまな神経伝達物質が関与しています。

なぜこんな面倒なことをしているのでしょうか?

最初から神経細胞同士が繋がっていたら、すべての情報が全脳に行くので便利そうだと思いませんか?

しかし、前述のように脳の役割は個々に異なります。

すべての情報を伝えると、情報が過多になって脳がフリーズしてしまうのです。

したがって、必要な場所に必要な情報を伝えるため、神経伝達物質の中にも興奮性のものと抑制性のものがあり、バランスを取りながら分泌されています。

約100種類の神経伝達物質があると言われていますが、明らかになっているものはまだ少ないです。

主な神経伝達物質

● アミノ酸

グルタミン酸:興奮性の伝達物質

ガバ:抑制性の伝達物質

グリシン:抑制性の伝達物質

● モノアミン

アセチルコリン:興奮性、記憶に関連

ドーパミン:興奮性の伝達物質、快感、やる気に関連

ノルアドレナリン:興奮性の伝達物質、怒り、やる気に関連

アドレナリン:興奮性の伝達物質、恐怖、やる気に関連

セロトニン:精神を安定させる調整物質

メラトニン:睡眠などの生体リズムに関連

● 神経ペプチド

エンドルフィン:痛みを軽減する、幸福感と関連

エンケファリン:痛みを軽減する、幸福感と関連

心は神経伝達物質の量とバランスに大きく影響されます。

興奮性の神経伝達物質が過剰だと失望感や神経過敏につながる一方、これらが不足すると意欲を失いうつ病に陥る可能性があります。

どの神経伝達物質が良いかという話ではありませんが、これらがバランスよく分泌されることによって、さまざまな感情が生まれ、心の平穏や動機と生活の喜び、悩みや愛、悲しみなど、さまざまな人間らしい感情が生まれるのです。

私は神経伝達物質のバランスが崩れないことが心や美容、人生において欠かせないものだと考えています。

神経伝達物質は大脳間連合のアーモンド型の小さな「扁桃体」という部分の働きによって分泌されます。

扁桃体の指令に従い、神経伝達物質を脳内の各所に放出しているのが、生命の脳である脳幹にある「神経核」と呼ばれる神経細胞の集まりです。

神経核は脳幹に沿って伸び、A、B、Cと3つの系統があり、それぞれA1やB5などの番号がついており、左右対称に合計40個の神経核が並んでおり、各個体によってドーパミンを担当するなど、アドレナリンを担当するなど、さまざまな役割に分かれています。

その中でドーパミンの放出を担当しているのがA8〜A16ですが、特にA9神経系とA10神経系は非常に大きく重要です。

ドーパミンは快楽物質で、人間の「ワクワク、ドキドキ」を司っています。

楽しいことをする時、何かを達成する時、褒められた時に感じる嬉しい気持ちは、ドーパミンが出ているからです。

何かをする意欲ややる気が出るのもドーパミンが出ているからです。

ドーパミンを担当する神経系の中でも「A10神経系」は報酬系とも呼ばれています。

報酬系とは、ドーパミンが出る快感を脳が覚え、その行為によって快感を感じることを学習し、またその感覚を得たいという意欲が生まれるというものです。

この報酬系があるおかげで、環境に適応したり、高度な社会文明を築くことができます。

目標を達成することでますます意欲が生まれます。

ただ、この報酬系には1つの問題があります。

A10神経が暴走しないようにA6神経がギャバを放出して抑制しますが、やはり前頭連合野にはドーパミンに対する抑制機能がないようです。

A10神経系は、仕事や勉強など自分にプラスになることならば、多くの利点がありますが、ギャンブルや薬物などによってドーパミンが出てしまうと、それに対しても同じ快感を再び得ようとする試みができます。ここに「依存症」という問題が生じます。

例えばパチンコで大量の玉が出ると、ドーパミンも大量に放出されると言われています。

脳はこの快感を学び、再び得たくなるのです。

覚醒剤なども、このドーパミンと報酬系に関連しています。

覚醒剤の成分はドーパミンと構造が似ているため、ドーパミンの放出を促進し、再吸収を阻害することで、脳内のドーパミン濃度が結果的に高くなります。

コカインやアヘンなども、興奮性の伝達物質の濃度を高める作用があります。

したがって、これらの薬物は特に依存性が高いですが、繰り返すことで過剰な錯覚、神経過敏、不眠、混乱、幻覚、不安、攻撃性、不整脈、血管障害、記憶力の低下など恐ろしい結果をもたらします。皆さんもご存知の通りですね。

私が一番恐ろしいと感じるのは、人間が持つ「動機」や「意欲」、そして「目標」や「ワクワクドキドキ」など、生きる喜びを感じるこのA10神経系に傷がついて、めちゃくちゃになってしまい、完全に回復することが難しいという点です。

ニコチン中毒もこの報酬系が作用すると言われています。

ニコチンによって増加する伝達物質はドーパミン、βエンドルフィン、アセチルコリン、セロトニンなどです。これだけ聞くとニコチンはなんか良さそうに思いますが、実はそうではありません。

人間はニコチンなどなくても、目標を達成すれば嬉しいし、頑張って褒められれば嬉しく、デートすれば楽しいです。

そのような時にドーパミンは自動的に出て、ハッピーになるのです。

しかし、ニコチン中毒になると、このような楽しみや喜びが、ニコチンなしでは十分に得られなくなってしまいます。

要するに、ニコチンがあるために余分にハッピーになるのではなく、もともとニコチンなどなくても感じられたであろう幸せが、ニコチンなしでは得られなくなるということ。

しかも、お金もかかり、発がん物質をたくさん吸い込むため、何も良いことはありません。

実は、脳内の報酬系は、美味しい食べ物を摂る際にも活性化し、ドーパミンが放出される仕組みです。このプロセスを繰り返すことで、食べ物を想像したり香りをかぐだけでもドーパミンが分泌され、楽しみながら食事を楽しむことができます。これだけであれば何の問題もありませんが…

最近、驚くべき実験結果が明らかになりました。砂糖や人工甘味料の甘さが、脳内の報酬系やドーパミンなどの神経伝達物質に影響を及ぼし、中毒や依存症を引き起こすことが分かりました。さらに驚くべきことに、それはコカインよりも強力な中毒性を持つことが判明しています。

ダイエット飲料として普及している人工甘味料についても、テキサス大学の大規模な調査によれば、毎日ダイエットソーダを摂取する人々はそうでない人々に比べて、メタボリックシンドロームのリスクが36%上昇し、糖尿病のリスクは67%上昇することが示されました。同様の傾向はフランスでも報告され、ダイエットソーダを摂取した人々の糖尿病リスクは15%高いという研究結果が発表されています。

人工甘味料は非常に甘いため、甘味に対する味覚が鈍化し、他の甘い食品を過剰に摂取してしまう傾向があることや、カロリーゼロの人工甘味料でもインスリンが分泌されることが研究で示されています。さらに、これがコカインよりも強い依存性を報酬系に引き起こす可能性があることから…まさに驚くべき事態です。

もちろん、私たちには既に自然な形でワクワクと興奮を感じることができる素晴らしい報酬系、A10神経が備わっていることを忘れてはいけません!

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